安倍総理は奇才か、それとも凡才か
新型コロナウイルスに対する安倍政権の対応について考察してみた。
果たして彼は、稀代の奇才宰相か、それとも単なる凡才宰相か。
奇跡その1
中国武漢で新型コロナウイルスが拡大し始めた頃、日本は呑気な雰囲気に包まれていた。
新型コロナ?インフルと似たようなものでしょ?
都市封鎖だって。中国は大変だね。
これから始まるパンデミックのことなど、まるで別世界の話だった。
そんな中、一部の人たちから、中国からの入国を禁止するべきではないかと声があがった。いわゆる水際作戦というやつだ。
ウイルスの侵入を阻止しなければ、日本は大変なことになるという警告。
しかし安倍総理は習近平中国国家主席の来日に配慮して、中国からの渡航に制限をかけられないでいた。武漢からの渡航制限を決めたのは、習近平主席の来日延期が決まったその後。
タイミング的には『手遅れ』と言われても仕方のない時期。新型コロナウイルスが日本に蔓延し始めてもおかしくない状態だ。
ところが、最近の遺伝子解析の報告で、中国武漢タイプのウイルスやクルーズ船のウイルスは日本国内で広まっていないことが分かってきた。
今現在、国内で広まっているのは欧米タイプの新型コロナウイルスなのだ。
安倍総理、奇跡的にも責任を問われずに済む。
奇跡その2
学校の一斉休校
安倍総理が要請した学校の一斉休校に批判が相次いだ。
愛媛県知事は「場当たり的で唐突、国民に不安が広がりかねない」
千葉市長は「衝撃の報道。社会が崩壊しかねない」
元文部官僚は「世紀の愚策だ」と切り捨てた。
子供は新型コロナウイルスには感染しにくいと言われていた頃だけに、科学的に根拠がないなど、安倍総理の決断に疑問の声が挙がった。
だが今や、海外でも160カ国以上で学校が休校になるなど、感染拡大防止の対策としてはある種、当たり前的な手段になっている。
安倍総理の先見の明か、それとも偶然か。
奇跡その3
批判の相次いだ布マスク配布
新型コロナウイルス対策として日本国中が、世界中が注目していた日本の対策第一弾。
安倍総理は会見で高らかに発表した。
「各世帯に2枚づつ布マスクを配布します!!」
え〜?!マスク配布?布?しかも、ひと家族たったの2枚?
大家族には足りないじゃん。意味ないじゃん。
海外では現金支給が報道されており、日本でも、と期待が高まる注目の会見。
その注目の第一弾がマスク配布。
それだけのお金があったら、もっと他に使い道があるだろ!
まさに批判の嵐。
ところが、安倍さんの政策に刺激されたのか、アメリカでも布マスクの配布が始まった。しかも受け取るために長蛇の列ができるほど。
サージカルマスクでなければ意味がないと言う者もいたが、布マスクでもありがたいと言う声もあり、評価は別れた。
アメリカのアシストもあり、安倍総理、またしてもピンチを切り抜ける。
奇跡その4
10万円の一律給付
収入が減少した世帯に30万円を給付するという政策が閣議決定されたが、急遽、国民一人ひとりに10万円を支給することに変更された。
閣議決定されたことが変更されるのは前代未聞と野党やマスコミは騒いだが、閣議決定の変更は過去にも度々あり、実はそれほど珍しい事でもない。
分かりにくい、受け取れる世帯が限定的など、お世辞にも評判がいいとは言えなかった30万円給付。財務省に押し切られる寸前で巻き返しができたわけで、ある意味、奇跡と言えなくもない。
支持団体からの突き上げで国会議員たちの尻に火がついたかどうかは定かではないが、全国民に支給という形に落ち着いたことで、この政策が内閣支持率にプラス働くことは間違いない。
安倍総理、ここでも土壇場で踏みとどまった形だ。
新型コロナウイルスに対する正式な対策本部がない。
各省庁が縦割りで、横の連携がまるでない。
PCR検査が不十分で実態が把握できていない。
経済対策が不十分などなど、グダグダとも思える現政権。
だが、諸外国に比べ、日本国内の死者数は圧倒的に少ない。
現時点で医療崩壊も起きていない。
日本人のなせる技か、それとも奇跡か。
総合的に勘案して、安倍総理が奇才宰相だとは思えないが、
いまこの時の日本の総理大臣が他の人でなく、
安倍さんで良かったというのも正直な感想だ。
それがまさに、アベノキセキなのかもしれない。