衆議院と参議院の予算委員会で閉会中審査が行われました。
加計学園が獣医学部の新設を申請していることを「いつ知ったのか」という野党側の質問に安倍総理は今年の1月20日だと答えました。
これまで国会の答弁で安倍総理は2年前の時点で今治と加計学園が申請していることを知ったとしていましたが、それらを訂正して1月20日だとしたのです。
この訂正はあまりにも無理があります。
なぜ無理をしてまで訂正しなければならなかったのでしょうか。
答えはズバリ、大臣規範に抵触するからです。
大臣規範(正式には国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範)とは公職にある者が清廉さを保持し国民の信頼を確保するために定められた規範のことです。
加計学園が獣医学部の申請をしていることを2年前から知っていたとなると、その間に行っていた加計学園理事長との飲食やゴルフは関係事業者との供応接待にあたり規範に抵触する行為となるのです。
違反したからといって法的な責任はないと思いますが、道義的責任は生まれるわけで総理はそれを回避するために訂正をしたものと思われます。
このことで閉会中審査は紛糾しました。
加計理事長との会食やゴルフは軽率な行為だったと素直に謝罪するべきでした。飲食はしていたが、獣医学部新設の便宜を図ったことはないと丁寧に説明をするべきでした。
一国の総理が、ご飯をおごってもらったくらいで便宜を図るとは誰も思っていないでしょう。ましてや、二人は学生時代からの友人。どこかの理事長のように安倍総理の地位を利用しようと近づいてきた人とは違うことぐらい分かります。とは言え、親しき仲でも加計理事長が関係事業者となっている以上、誤解を生むような行為は慎むべきだったと率直に謝っていればよかったのになぁと思います。
大臣規範のために事実を捻じ曲げてまで知らなかったと答弁するのは誠実とは言えません。
今治市と加計学園の申請は第2次安倍内閣においても4回、却下されています。友人に便宜を図っているのであれば、もっと早い段階で新設が認められていても不思議ではありません。
文科省と獣医師会による50年以上におよぶ抵抗を打破するために総理がリーダーシップを取ったのであれば、それはまた別の議論です。
真実を隠すために嘘をついてしまったら、国民の信頼は得られません。
苦し紛れに衆議院を解散したところで「嘘つき解散」と言われて苦戦するのは目に見えています。