しかし、前原さんという人は何とも運の無い方だ。
民主党時代は偽メール問題で躓き、今度は不倫疑惑で足を引っ張られる。どちらも本人に責任があるわけではないのだが、対処の仕方に問題があることは否めない。トップとしての力量には疑問符が付いてしまう。民進党の前途は多難だ。
それにしても、これほどまでに陳腐な離党劇というものがあっただろうか。
自民党の不倫議員を厳しく批判してきた本人が不倫疑惑で離党に追い込まれたのだから。
批判していることが、そっくりそのまま自分自身に跳ね返ってくることをブーメランに喩える人がいるが、もはやそのブーメランは民進党のお家芸になってしまった。
自ら子育てをし、全国の母親の代弁者とも言われ、舌鋒鋭く追及する様は蓮舫議員を遥かに凌駕していた。まさに、これからの民進党を背負っていく立場の人だった。
そんな重要な立ち位置にいる人間が、よりによって不倫疑惑で失脚するなど、誰が想像できただろうか。
山尾議員を擁護する人は言う。
「有能な人なのだから、これでお仕舞いではもったいない」「不倫くらいで辞める必要はない」と。
果たしてそうだろうか?
不倫は明らかな不貞行為だ。山尾氏本人と相手の男性は否定しているが、ホテルに行ったところを週刊誌に撮られているにもかかわらず、男性弁護士は行っていないと嘘をついてしまった。やましいことが無ければ嘘をつく必要もないが、隠してしまったことで自ら男女関係を認めてしまった格好だ。
この国は一夫多妻制でもなければフランスのような価値観があるわけでもない。
あるのは倫理観だ。
政治家が絶対にやってはいけないことのひとつがルールを破ることだ。公職選挙法、政治資金規正法など政治の世界には様々なルールがある。これらのルールを守るのは当たり前のことだが、欲望が勝るとタガがはずれて理性が効かなくなる。政治資金で私物を買ったり、架空請求で私腹を肥やしたり。バレなければ大丈夫。これくらいは、みんなやっているとなる。
夫婦間においてもルールは存在する。不倫も同じことだ。理性をコントロールできないということは政治家にとって致命的だ。
それだけではない。
党が執行部を刷新し再出発しようとしている時にホテルの部屋で不倫相手と祝杯をあげてしまう感覚がすでにアウトだ。幹事長ポストに名前が挙がるということは、それだけ世間から注目される立場になる。誰が見ているか分からない都会の真ん中で、堂々とホテルに行ってしまう無防備さが信じられない。
二人だけで行動している場面も何度となく目撃されている。政策ブレーンなのだから常に行動を共にしていても問題ないだろうという考えは、まさに法律家ならではの自信だろうが、時間差でホテルに入るというあたりは不倫の典型的な手法であり、稚拙な一面も覗かせている。
疑惑発覚後の対応もよろしくない。
国会で安倍総理に再三、説明責任を求めていた本人が自身のことになった途端、何の説明もしないというのでは筋が通らない。
無い無いと否定していても、証拠を突きつけられて最終的に罪を認めてしまうのが一番救いようが無いパターンだ。
最初に報道されたとき、すべてを認めて謝っていたら再起の可能性も残ったと思うが、完全否定をし、説明責任も果たさない状態だと有権者の理解も得られないだろう。
第2、第3段の報道がでた時点で政治家生命が終わるかもしれない。