どうなる豊洲新市場
築地市場の移転延期で豊洲新市場が宙に浮いた状態になっています。
都議会で移転することが承認され、移転準備に向けて作業が進められていましたが、小池新都知事の判断で移転は延期になったわけです。
延期の理由に、小池都知事は事業会計の不透明さや新市場の安全性、行政の情報公開を挙げました。
事業会計や情報公開などについては行政側の問題ですので、公開する気になれば、すぐにでもできること。移転延期の理由には当たりません。
唯一、延期の理由になるのが安全性の問題です。
就任当初、小池都知事は豊洲新市場の安全性について
「地下水の検査結果を待ってから判断する」と明言していました。
年明けに調査結果が出るから、それを確認してから移転の判断をするというのが都知事のスタンスでした。
それまでに行われた7回の検査では各化学物質の数値はどれも環境基準値以下でしたので、特段、危機が迫っているという状況ではありませんでした。移転しても、なんら問題ないレベルの話だったわけです。
では、なぜ、小池都知事は延期の決断をしたのでしょうか?
単なるパフォーマンスであった。
私はそう思っています。
小池都知事は築地の移転問題を政治的に利用したに過ぎないということです。
彼女にしてみれば、市場が築地にあろうが、豊洲にあろうが、大した問題ではないでしょう。
大切なのは規定路線に待ったをかける姿を都民に見せること。
たとえ決まった事業であっても、疑義があれば立ち止まる。場合によっては中止もする。そういう果敢な姿を都民や国民に見せ付けることが彼女にとっては重要なことだったに違いありません。
もちろん、年明けの最終検査でも有害物質の数値は環境基準値以下であろうことは予想されていましたので、その結果を確認して移転の決断をすれば最高の成果をえることができるというのが小池都知事の描いたシナリオだったと思います。
誤算は最終検査の結果でしょう。
1回目から7回目まで基準値以下であったのですから、8回目の検査も当然、大丈夫だろう。という計算があったからこそ、延期を決めたのだろうと思います。
移転の可否は検査の結果次第。
このことが後々、自分の首を絞めることになろうとは、そのときは想像もしなかったことでしょう。
検査の結果が基準値を超えている以上、移転は不可能になってしまいました。
土壌や化学薬品の専門家が豊洲新市場は問題ないレベルですよと安全宣言を出しても、ここまで風評被害が拡大してしまっては、もはや安心感は回復できません。
現時点で移転の決断をすれば、移転延期の根拠が崩れてしまい小池都知事の責任問題になりかねません。
移転中止の決断をすれば、豊洲新市場の建設費、築地の再整備費、市場業者に対する補償費など様々な問題が噴出します。
パフォーマンスの代償は大きいと思います。