築地を守り、豊洲をいかす
机上の空論とは、まさにこの事だろう。
都庁の、あの大きなビルの中の会議室で知事、都庁職員、専門家といわれる人たちが、あーでもない、こーでもないと議論しながら纏めあげた築地と豊洲の併用案。
その会議の場に市場で働く人たちの姿はありません。
当事者たちの希望をリサーチしないで上から目線で枠組みや仕組みを決めていくやり方は、まさに役所仕事そのものです。
例えて言うなら、サプライズで彼女にバッグをプレゼントしたのに彼女はあまり喜んでいないようなもの。買った本人は良いバッグだとニンマリしていても、彼女にしてみれば色も形も好みではなく、どうせなら靴が欲しかったといった感じでしょうか。
相手が何を望んでいるのか気にもしない。自分たちが決めたことにただ黙って従えばいいという物の考え方です。
豊洲新市場の建設の時もそうでした。使い勝手の悪い建物。実際に働く人たちの意見を聞かないで作ってしまうから、そういうズレが生まれてしまうのです。
築地ブランド
小池都知事は何度も築地ブランドを強調しました。築地を再開発し、食のワンダーランドにすると。そして戻りたい人は戻ってくださいと。
現場を知らない役人が考えそうなことです。
豊洲新市場へ移転するために業者の方たちはすでに自己負担で300億円もの投資をしています。豊洲に店を構えるために借金をしているのです。
背水の陣で豊洲に移る決意をした人たちに対して、戻りたければどうぞなどと気軽に言ってしまう無神経さは理解に苦しみます。
小池都知事の頭の中には豊洲を最高の市場に造り上げようという気持ちは微塵もありません。豊洲は物流に特化すればいい。最高の食材は築地でしょという考え方です。
築地残留派に配慮した結果でしょうか。はたまた自民党への対抗でしょうか。
口が裂けても、豊洲オンリーなどとは言えない。なにがなんでも築地をメインにしたいようです。
小池都知事は大きな勘違いをしているように思います。
築地は自然に出来上がったブランドではありません。そこで仕事をする人たちの目利きの確かさが積み重なって出来たブランドです。
築地の土地が凄いわけではない。
そこで働く人たちが凄いのです。
彼らが豊洲へ行けば、そこで最高の食材を提供してくれるでしょう。最高のパフォーマンスを発揮できるよう豊洲を全力でサポートすべきです。将来、築地に戻れるようにするなどという誘い水は愚策でしかないと思います。豊洲を世界一の市場にするために総力をあげて対応すべきです。都民一人ひとりが豊洲の安全性を理解し協力することが必要なのです。
しかし、小池都知事にその考えはありません。
彼女が考えていることは、どうしたらもっと自分をアピールできるかということです。
独自色を出して、できる知事を演出すること。
世間の耳目を集め、常に高い支持率を維持する。
都民ファースト?
いやいや、百合子ファーストでしょ。