ここ数年、人工知能の技術が飛躍的に進歩しています。
よく知られているのが将棋や囲碁のゲームソフトです。人間が考えられる手数の数万倍という膨大なデータの中から最良の一手を選び出す能力はもはや人知を超えた領域です。それまでの常識や常道と言われる指し手が通用せず、人間が思いもしない手を打ってくる様は人工知能の無限の可能性を予感させてくれます。
さらに、人工知能を社会生活に役立てようという試みも始まっています。過去数十年分のあらゆるデータをインプットし、人工知能に未来の予測をしてもらおうというのです。思い込みや偏見といった人間ならではの雑念を排除し、純粋にベストな方法を選ぶことができれば効率的な選択ができるかもしれません。
通信大手のドコモは携帯の位置情報を利用し人の流れを予測する研究をしています。その技術を応用し、タクシー会社に乗客のタクシー待ち情報を提供する事業が始まっています。過去の乗降記録と端末の位置情報をインプットし、どの時間帯にどこでタクシー待ちがあるかを予測するのです。かなりの精度で予測は的中し、それまで経験だけでタクシーを走らせていたときよりも売り上げは大幅に伸び、結果を出しています。経験のない新人ドライバーでも安定的に客を拾うことができるわけです。
人工知能は国の進むべき方向を決めるツールになるかもしれません。
世界の情勢や膨大な経済データをインプットし、人工知能が最善と思った選択肢を国会で議論する時代がくるのも、そう遠くないことかもしれません。
先日NHKで、日本の未来を人工知能に聞いてみるというの番組が放送されていました。日本が抱えている問題に対して人工知能からヒントをもらい、マツコデラックスさんがその提言を検証するという番組です。
健康になりたければ病院を減らせ
少子化を食い止めるには結婚よりも車を買え
40代一人暮らしが日本を滅ぼす
などの提言があり、議論がおこなわれました。
提言というよりは相関関係を可視化したもでした。ある事象の数値が大きくなるとそれに連動して別の項目の数値が大きくなる。関連性があるのか無いのかまでは人工知能は教えてくれないということで、直接的な因果関係までは分からないということです。
関連性を人間が想像してしまっては、これまでの偏見や常識などに支配されてしまうわけで人工知能の本来の良さが発揮できない気もしますが、数年先には人工知能が関連性を説明するところまで進歩するのは間違いないでしょうね。